船の電蝕対策・亜鉛板の交換時期・ペラ亜鉛の選び方を徹底解説!

 

 

亜鉛板は“溶けるほど良い”って本当?
― 船の電蝕対策・亜鉛板の交換時期・ペラ亜鉛の選び方を徹底解説 ―

船を所有している方なら、「亜鉛板の交換時期」や「ペラ亜鉛の選び方」で迷った経験があるのではないでしょうか。亜鉛板は船体やペラを電蝕から守るために欠かせない“消耗品”ですが、正しい知識がないまま使い続けると、思わぬトラブルや高額修理につながることもあります。

特に冬場は時化で海に出られない日が増えるため、亜鉛板の点検・交換に最適なタイミングです。本記事では、亜鉛板の役割、交換の目安、ペラ亜鉛との違いなどを分かりやすく解説し、船を長持ちさせるためのポイントを深掘りします。

なお、松田漁業用品店では板亜鉛・ペラ亜鉛を各種サイズで取り扱いしています。記事の後半で、用途に合った選び方も紹介します。


亜鉛板とは?船を守る「犠牲陽極」

船体やペラ、シャフトなどの金属部分は、海水に触れることで電蝕(でんしょく)と呼ばれる腐食が進みます。これは海水が電解質となり、金属同士の電位差によって一方が溶けていく現象です。

そこで登場するのが亜鉛板(犠牲陽極)です。亜鉛は鉄やステンレスより電位が低いため、 「自分が先に溶けることで、他の金属を守る」という役割を果たします。

つまり、亜鉛板が溶けるのは正常であり、溶ける=船を守っている証拠なのです。


「長持ちする亜鉛板」が危険な理由

「まだ全然減ってないから大丈夫」――そう思って放置してしまうケースは少なくありません。しかし、減らない亜鉛板には以下のような可能性があります。

1. 電気的に接触していない

取り付け面の汚れ・塗料・サビ・海藻などが原因で、亜鉛板が電気的に船体とつながっていない状態になっていることがあります。この場合、亜鉛板は“存在しているだけ”で、本来の役割を果たしていません。

2. 表面が酸化して機能していない

白く粉を吹いたような状態になると、電気的な働きが弱まり、腐食を防げなくなります。見た目には残っているように見えても、実際には「仕事をしていない亜鉛板」になっていることがあります。

3. 粗悪品で電位が適正でない

安価な亜鉛板の中には、電位が不安定だったり、溶け方が不均一だったりするものもあります。こうした製品は、船の電蝕対策として十分に機能しない場合があります。


亜鉛板を放置するとどうなる?

亜鉛板が機能していない状態で船を使い続けると、次のようなトラブルが起こり得ます。

  • ペラの腐食・欠け
  • シャフトの腐食によるガタつき
  • 船底金具の腐食
  • 船外機の腐食
  • 最悪の場合、走行不能や高額修理

特にペラやシャフトの腐食は、気づいた時には手遅れというケースも多く、修理費が数十万円単位になることも珍しくありません。


亜鉛板の交換時期の目安は「半分以上減ったら」

一般的には、新品と比べて50%以上減っていたら交換が推奨されます。ただし、使用環境によって消耗スピードは大きく変わります。

  • 海水の塩分濃度
  • 船の使用頻度
  • 停泊場所の電位環境
  • 船底塗料の種類
  • 船体の金属構造

特に漁港やマリーナでは、周囲の船や陸電設備の影響で電位が変化し、亜鉛の減りが早くなることもあります。そのため、「毎シーズン一度は必ずチェック」を習慣にするのがおすすめです。


ペラ亜鉛(プロペラ用亜鉛)の重要性

ペラ亜鉛は、プロペラシャフトに取り付ける専用の亜鉛です。ペラは常に海水に触れ、回転による摩擦や電位差の影響を受けやすいため、船体の中でも特に腐食しやすい部分です。

ペラ亜鉛が機能していないと、次のようなトラブルが起こる可能性があります。

  • ペラの欠け・腐食
  • シャフトの腐食
  • 振動の増加
  • 推進力の低下

航行性能や安全性に直結する部分だからこそ、ペラ亜鉛の定期的な点検・交換は欠かせません。


時化の多い冬こそメンテナンスのチャンス

冬は海が荒れやすく、出航できない日も増えます。そんな“空いた時間”こそ、船のメンテナンスに最適です。

  • 船底のチェック
  • ペラのガタつき確認
  • 亜鉛板・ペラ亜鉛の消耗具合の確認
  • 取り付け面の清掃
  • 新品への交換

特に亜鉛板は、見て・触って・比べるだけで状態が分かるため、短時間でできるメンテナンスとして最適です。「時化で海に出られない日=船を長持ちさせるチャンス」と考えると、オフシーズンの過ごし方も変わってきます。


失敗しない亜鉛板・ペラ亜鉛の選び方

1. 船種に合ったサイズを選ぶ

小型船、漁船、遊漁船など、船種によって適正な亜鉛板のサイズは異なります。大きすぎても小さすぎても効率が悪くなるため、船体に合ったサイズ選びが重要です。

2. ペラ径に合わせたペラ亜鉛を選ぶ

ペラ亜鉛は、プロペラシャフトの径や構造に合わせて選ぶ必要があります。サイズが合わないと電気的接触が不十分になり、十分な電蝕対策ができません。

3. 信頼できるメーカー品を選ぶ

電位が安定しているメーカー品は、溶け方が均一で安心です。粗悪品は、電位が適正でなかったり、局部的にしか溶けなかったりすることがあります。

4. 取り付け面を清掃してから装着

塗料・サビ・汚れが残ったまま取り付けると、電気的な接触が悪くなり、亜鉛板が本来の性能を発揮できません。取り付け前に、接触面をしっかり磨いてから装着することが大切です。


松田漁業用品店の亜鉛板・ペラ亜鉛について

松田漁業用品店では、板亜鉛・丸型ペラ亜鉛ともに各種サイズを取り揃えています。

  • 船種
  • ペラ径
  • 使用環境
  • 取り付け位置

これらを踏まえて、最適な亜鉛をご提案できます。「どれを選べばいいか分からない」という方も、お気軽にご相談ください。

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まとめ:亜鉛板は“溶けるほど良い”

亜鉛板は“溶けるほど良い”――これは船を長く安全に使うための大切な考え方です。

  • 早く溶ける=正常に「船を守っている」状態
  • 減らない=電気的に機能していない可能性も
  • 新品の半分以上減っていたら交換が目安
  • 時化の季節はメンテナンスの絶好のタイミング

大切な船を長く、安全に使い続けるために、ぜひ一度、亜鉛板・ペラ亜鉛の状態をチェックしてみてください。

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