船舶係留とアンカーロープにおけるビニロンロープ考察

船舶係留とアンカーロープにおけるビニロンロープ考察

船舶の係留やアンカーロープにおいて、ロープの素材選びは安全性と耐久性を左右する重要な要素です。特に漁業や作業船の現場では、コストと信頼性のバランスが求められます。本稿では、内外製鋼株式会社製のビニロンロープを中心に、その特徴や他素材との比較、さらに「クレモナロープ」との関係について考察します。


ビニロンロープの特徴

  • 素材特性:ビニロンはポリビニルアルコール系繊維で、耐摩耗性・耐薬品性に優れています。

  • 強度:ナイロンほどの伸縮性はありませんが、十分な破断強度を持ち、船舶係留に適しています。

  • 耐候性:紫外線や塩水に対して比較的強く、長期使用に耐えやすい。

  • コスト:ナイロンやポリエステルより安価で、漁業や作業船など日常的にロープを多用する現場で重宝されます。


他素材との比較

素材

強度

伸縮性

耐摩耗性

耐候性

コスト

ナイロン

   ◎

    ◎

     ○

    △

高め

ポリエステル

   ○

    △

     ◎

    ○

中程度

ビニロン

   ○

    △

     ◎

    ○

安価

ポリプロピレン

   △

    △

     △

    △

非常に安価


よくある誤解:クレモナロープとビニロンロープ船舶係留やアンカーロープの現場でよく耳にする「クレモナロープ」。一方でメーカーのカタログには「ビニロンロープ」と記載されていることが多く、ユーザーの間で「クレモナとビニロンは別物なのでは?」という誤解が生じがちです。実際のところ…

  • 素材は同じ:どちらも「ビニロン繊維(ポリビニルアルコール系繊維)」で作られています。

  • 呼称の違い:

    • 「クレモナ」は商標や商品名として広まった呼び方。

    • 「ビニロン」は素材そのものの名称。

  • メーカーごとの表記例:

    • 内外製鋼株式会社 → 「ビニロンロープ」

    • クラレ → 「クレモナロープ」

誤解が生まれる理由

  • 商標名が一般名称化してしまい、ユーザーが「クレモナ≡特別なロープ」と認識してしまう。

  • カタログや販売店によって呼び方が異なるため、同じ素材でも別物に見えてしまう。

正しい理解

  • クレモナロープ≡ビニロンロープ

  • 呼び方が違うだけで性能や用途は同等。安心して用途に応じて選べば問題ありません。


安心・安全の日本製

  • クラレ(Kuraray):世界で初めてビニロンを工業化したメーカーで、「クレモナ®」の商標を持つ。日本発の合成繊維として歴史的な存在。

  • 内外製鋼株式会社:ビニロンロープを製造・供給する国内メーカー。漁業や船舶係留の現場で長年の実績を持つ。

  • 品質管理:国内工場で厳しい基準をクリアし、安定した強度と耐久性を保証。

  • 信頼性:漁業や船舶係留の現場で安心して選べる日本製として高い評価を得ている。


まとめ

 

ビニロンロープは、耐摩耗性・耐候性・コスト面で優れたバランスを持ち、船舶係留やアンカーロープに適した素材です。「クレモナ」と「ビニロン」は呼称が異なるだけで同じ素材であり、安心・安全の日本製として現場で高い信頼を得ています。用途に応じてナイロンやポリエステルと使い分けることで、より安全で効率的な係留作業が可能になります。

 

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