テグスのヨリが漁を狂わせる。漁業の現場が枷巻(カセ巻)を選ぶ本当の理由
枷巻(カセ巻)を選ぶのか?
テグスの話をすると、釣り人と漁業者では選び方がまったく違う。
釣具店に並ぶスプール巻きやボビン巻きを当たり前に使っている釣り人がいる一方で、現場の漁業者のほとんどはカセ巻き(枷巻き)を選ぶ。なぜか。
答えはシンプルだ。「ヨリが出にくいから」。
たったこれだけの理由が、長年の現場経験から導き出された答えである。
テグスにヨリ(撚り)が入るとは、ラインがくるくると螺旋状によじれてしまうことだ。釣りで少し絡むくらいならまだ我慢できる。しかし漁業の現場では話が違う。
延縄漁や引縄漁では、何百本・何千本もの仕掛けを毎日出し入れする。ここでテグスにヨリが入ると、次のことが次々と起きる。
仕掛けが絡む ── ヨリの入ったラインは隣の仕掛けと絡みやすくなる。一本絡むと連鎖する。
作業効率が落ちる ── 絡んだ仕掛けをほどく時間は、そのまま漁の時間を奪う。時間は金だ。
ラインが弱る ── ヨリが入った部分は局所的に負荷がかかる。そこから切れる。
漁獲効率に影響する ── 仕掛けの動きが不自然になり、魚がかかりにくくなることもある。
だから現場のベテランは言う。「テグスのヨリは百害あって一利なし」と。
スプール(ボビン)にラインが巻かれた状態。スプールが回転してラインが出るため、ラインに回転方向のヨリが入りやすい。
ラインが輪の形に束ねられた状態。スプールが回転しないため、ヨリが入りにくい。これが現場の漁業者がカセ巻きを選ぶ最大の理由。
毎日何百mものテグスを扱う漁業の現場では、この差が積み重なって大きな影響を生む。だからこそ、漁業専用のテグスはカセ巻きで販売されているものが多い。
カセ巻きのテグスはいくつかある。では、なぜ東レトーリンなのか。漁業者に聞くと、こんな答えが返ってくる。
「安定しているから」
- ✓適度な柔軟性としなやかさ ── 水の中でのなじみが良く、仕掛けの動きが自然になる。硬すぎず、柔らかすぎず、ちょうど良い。
- ✓高いノット強度 ── 結び目が安定している。結んだところから切れにくい。漁業では結びが命だ。
- ✓水なじみの良さ ── 東レのナイロン技術による安定した特性で、水中でのライン挙動が予測しやすい。
- ✓安定した品質(国産・日本製) ── ロットによる品質のばらつきが少ない。安い輸入品はロットによって強度が変わることがある。
- ✓扱いやすさ ── 絡んでも比較的ほぐれやすく、現場でのストレスが少ない。
世の中にテグスは数多くある。安いものもある。高価なものもある。カタログを見れば、魅力的なスペックが並んでいる。
しかし漁業者は性能表を見て商品を選ばない。
漁業の現場で求められるのは、一発だけの性能ではない。
毎日使っても裏切らないこと。昨日と同じように使えて、来月も同じように使えること。仕掛けを何百本出しても、季節が変わっても、品質がぶれないこと。
漁師が東レトーリンを選ぶ理由は、最強だからではない。
安心して仕事ができるからだ。
試しに安いラインを使ってみた漁師は多い。最初は問題ない。しかし何度か使っているうちに、ロットが変わったときに強度が違う、なんとなく絡みやすい、そういった「小さなストレス」が積み重なる。
高価なラインも同じだ。確かに性能は高いかもしれない。しかし毎日大量に消費する漁業の現場では、コストが直接利益を圧迫する。
「信頼」は、一回の性能では生まれない。
何年も、何十年も、同じように使えて初めて「信頼」になる。東レトーリンが全国の漁業者に長年使われ続けているのは、まさにその積み重ねだ。派手な宣伝があるわけでも、革新的な新技術があるわけでもない。ただ、毎日の現場で裏切らなかった。それだけだ。
東レトーリンが便利なもう一つの理由は、号数のラインナップが非常に広いことだ。
仕掛けの先端に結んで魚に直接触れる部分。しなやかで水なじみが良いため、自然な動きで魚を誘う。
幹糸や引縄のメインとして強度が必要な場面でも対応できる。一つのブランドで細から太まで揃えられる安心感。
- ✓コストパフォーマンスが高い ── 大量に使う漁業の現場では、まとめ買いが基本。1000m単位で購入することで、1mあたりの単価を抑えられる。
- ✓在庫管理がしやすい ── 1000m単位は使用量が読みやすく、「あと何m残っている」が把握しやすい。突然のテグス切れを防ぎやすい。
- ✓現場で安心 ── 長い仕掛けを出す漁では、途中でテグスが足りなくなることが一番困る。1000mあれば安心して作業を始められる。
- ✓まとめ買いに向いている ── 号数ごとにまとめて購入しておけば、季節や漁法に合わせてすぐ使える。
ここまで読んでもらえれば、東レトーリン1000mカセ巻が持つ条件の揃い方がわかってもらえると思う。整理するとこうなる。
ここまで条件が揃っていて、あえて他を選ぶ理由があるだろうか。
実際に多くの漁業者が何年も、何十年も使い続けていることを考えれば、答えは自然と見えてくる。「色々使ったけど、結局これに戻るんよ」──この一言に、すべてが込められている。
テグス選びは、地味なようで漁の効率に直結する大事な判断だ。ヨリが出にくいカセ巻きを選ぶ。品質が安定していて扱いやすい東レトーリンを選ぶ。1000mまとめ買いでコストを抑える。難しいことは何もない。現場の経験が積み重なって導き出された、シンプルな答えだ。
「最強だから買う」ではなく、「結局これが一番合理的だから使い続ける」──東レトーリンが長年支持され続けている理由は、まさにそこにある。
大手釣具店に行っても、1000mカセ巻の漁業用ナイロンを見かけることはほとんどない。理由は簡単で、一般の釣り人向けの商品ではないからだ。
しかし漁業の現場では今も必要とされている。だから松田漁業用品店では現在も取り扱いを続けている。
国産・日本製 / 6号〜150号対応 / 延縄・引縄・太刀魚漁など