子どもの海辺の事故を防ぐには?ライフジャケットと夏の水難事故対策
海辺で子どもを守る7つの準備
夏になると、周防大島の海辺にも家族連れが増えてきます。磯遊び、海水浴、堤防からの釣り、船での沖出し。子どもにとっては、何もかもが初めてで、全部が楽しい。そういう夏の一日を、大人も一緒に楽しみたいと思っています。
ただ、海には、急な深みや波、潮の流れ、風など、海特有の危険があります。大人には小さく見える波でも、子どもは足を取られることがあります。風が出れば、浮き輪やフロートごと沖へ流されることもあります。「浅いから大丈夫」「すぐそばにいるから大丈夫」という判断が、取り返しのつかない結果につながることが、残念ながら毎年あります。
私たちは周防大島で約70年、漁師や海に関わる人たちと一緒に歩んできた漁具店です。海のそばにいるからこそ、夏になると伝えておきたいことがあります。この記事で一番伝えたいのは、商品についてではなく、海へ行く前の準備と見守りの大切さです。海へ行く子どもたちに、元気に家へ帰ってきてほしいという気持ちで書いています。
- ✓ 海の事故が起きやすい「意外な場面」
- ✓ 浮き輪とライフジャケットの役割の違い
- ✓ 大人用ライフジャケットを子どもに着せてはいけない理由
- ✓ 子ども用ライフジャケットの正しい着用チェック
- ✓ 海へ行く前に確認したい7つの準備
「泳がないからライフジャケットはいらない」という考えは、海では通じません。泳ぐ予定がなくても、海のそばにいる限り、水に落ちる可能性は常にあります。
事故が起きやすい場面は、意外と多いです。
- ! 堤防や岸壁のふちを歩いていて足を滑らせる
- ! 磯場の濡れた岩で転倒して海に落ちる
- ! 波打ち際で波に足を取られ、そのまま沖へ引っ張られる
- ! 浅かった場所が急に深くなり、足が届かなくなる
- ! 浮き輪やフロートが風に流され、子どもが沖へ出てしまう
- ! 船への乗り降り中に足を踏み外して転落する
- ! 釣りに夢中になった大人が、子どもから目を離してしまう
この考え方は、海では通じません。海のそばにいる以上、いつ水に入ることになるか分かりません。
浮き輪やフロートは、水遊びを楽しむための遊具です。落水時の安全を目的に、体へ装着するライフジャケットとは役割が異なります。使い方を間違えると、むしろ危険になることもあります。
| 浮き輪・フロート | ライフジャケット | |
| 用途 | 水遊びを楽しむ遊具 | 落水時に体を浮かせる安全装備 |
| 流される | 風や波の影響を受けやすく、子どもごと沖へ流されることがある | 人ごと流されることはあるが、落水時に体を浮かせるための安全装備 |
| 外れる | 手が外れたり転覆したりすると、体から離れることがある | 体格に合うものを正しく着用することで、脱げ上がりや脱落の危険を抑える |
| 浮く姿勢 | 体勢が崩れると顔が水面に向かない場合がある | 落水時に体を浮かせやすくする設計 |
浮き輪やフロートを使用する場合も、それだけで安全だと考えず、大人が手の届く範囲で見守ってください。水辺では、子どもの体格に合ったライフジャケットを正しく着用することも大切です。
「大きめの方が長く使えるから」「大人用でも子どもに使わせておこう」という判断は、海では危険です。
大人用ライフジャケットが子どもに合わない理由:
- ✓ 落水した際に、ジャケットが浮力で上へ抜け上がり、子どもが水中に残る可能性がある
- ✓ 顔の位置が安定せず、水中で正しく浮けないことがある
- ✓ 股ベルトがないと、体がジャケットから抜け出してしまうことがある
サイズは年齢だけで判断しないことも大切です。同じ8歳でも体格には差があります。お兄ちゃんのお下がりを下の子に使わせる場合も、必ずサイズを改めて確認してください。
着用後に肩の部分を上へ引っ張り、頭から抜けそうにならないか確認してください。少しでも抜けそうな場合は、そのサイズは合っていません。
子ども用のライフジャケットを持っていても、着用が正しくなければ本来の効果を発揮できないことがあります。海へ行く前に、以下を確認してください。
- ✓ 身長・体重が、そのライフジャケットの対象範囲に入っているか
- ✓ バックルをすべて留めているか(留め忘れは事故のもと)
- ✓ ベルトが緩すぎないか(ぶかぶかでは固定されない)
- ✓ 股ベルトを通しているか(これを忘れると落水時に抜け上がる可能性がある)
- ✓ 肩を上へ引っ張っても、頭から抜けないか
- ✓ 笛が付いている場合、鳴るか確認しているか
- ✓ 生地や縫い目に傷みや破れがないか
特に股ベルトは、見た目には着用できているように見えても、通し忘れているケースが多いです。ライフジャケットを着せたら、必ず股ベルトが正しく通っているか確認してください。
ライフジャケットは、子どもを放っておいてよい道具ではありません。
ライフジャケットは、落水したときに体を浮かせ、周囲が異変に気づき、救助につながるまでの時間を確保しやすくするための装備です。着せたからといって、安心して目を離してよい理由にはなりません。
次のような場面で、短時間だけ目を離してしまうことが多いです。
- ▸ スマートフォンを見ている間
- ▸ 荷物や飲み物を取りに戻る間
- ▸ 大人同士の会話に夢中になっている間
- ▸ 釣りの仕掛けを直している間
- ▸ 他の兄弟の世話をしている間
子どもが流された場合も、大人が慌てて海へ飛び込むと二次事故につながることがあります。まず周囲へ大声で助けを求め、近くにある浮く物を渡す・投げるなど安全を確保したうえで、海の事故は118番(海上保安庁)へ通報してください。
出発前に、家族で以下を確認してください。海へ着いてから気づいても、遅いことがあります。
- 1 天候・風・波の確認をした
当日の気象情報だけでなく、海況情報も確認する。急な天候変化には早めに対応する。 - 2 遊泳禁止・立入禁止区域ではないか確認した
禁止区域の表示がある場所には、理由があります。 - 3 子どもの体格に合うライフジャケットを準備した
年齢ではなく身長・体重で選ぶ。試着して股ベルト・バックルの確認まで済ませておく。 - 4 バックル・ベルト・股ベルトを正しく装着した
特に股ベルトの通し忘れに注意。着用後に肩を引いてサイズを確認する。 - 5 大人がすぐ近くで見守れる体制を整えた
子どもの人数に対して見守る大人が足りているか確認する。 - 6 帽子・飲み物・休憩場所を準備した
日差しの強い夏は熱中症も油断できない。こまめな水分補給と日陰での休憩を。 - 7 緊急時の連絡手段を確保した
スマートフォンは防水ケースに入れ、緊急連絡先(118番:海上保安庁)も確認しておく。
現地で慌ててライフジャケットを着せようとしても、ベルトの調整や股ベルトの確認は時間がかかります。子どもが早く遊びたくて落ち着かない中での装着は、確認が雑になりがちです。
海へ行く日が決まった段階で、自宅で一度試着させておいてください。サイズが合うかの確認、股ベルトの通し方、バックルの留め方。新品であっても、初めて使う前に必ず確認しておくことをおすすめします。
松田漁業用品店では、国土交通省型式承認・桜マーク付きTYPE Aの小児用ライフジャケット「オーシャンライフ Jr-1S/Jr-1M」を取り扱っています。
| 対象サイズ(Jr-1S) | 身長110~130cm目安 / 体重40kg未満 |
| 対象サイズ(Jr-1M) | 身長130~150cm目安 / 体重40kg未満 |
| 型式承認 | 国土交通省型式承認 / 桜マーク付き / TYPE A |
| 装備 | 股ベルト付き / 笛付き / 再帰反射材付き |
| 船舶検査 | 対応 |
サイズは身長・体重で選び、必ず試着して股ベルトとすべてのバックルを正しく装着してください。ライフジャケットを着用していても、大人が子どもから目を離さないことが最も大切です。
海でたくさん遊んで、家族でいっぱい笑って、日焼けして疲れて帰ってくる。それが全部そろって、初めて「楽しかった」になります。
この夏の一日を、悲しいものにしないために。ライフジャケットの準備、サイズの確認、股ベルトまでちゃんと留めること、そして大人が目を離さないこと。出かける前にできる準備は、最大限しておきましょう。
子どもたちが笑顔のまま家へ帰れるように。
周防大島で約70年、海とともに歩んできた漁具店として、
心からそう願っています。